11月文楽公演「第二部 仮名手本忠臣蔵(かなてほんちゅうしんぐら)」大星由良助の人形拵えをされる日午後から取材撮影をお願いした。 四月から始まった通し狂言の三部作が本公演で完結する。通し狂言を分けることなど考えもしなかった人も多いだろう。しかし大当たり。玉男師匠は「五人伐の段」の初右衛門の人形を七月に遣った。大星由良助がちょっと遠ざかったような気持ちがあったそうだ。新たな気持ちで、九段目から十一段目花水橋引揚より光明寺焼香の段に挑む。 人形拵えは全体の肉づけを調整しながら完成させていく。人形拵えの時には首はつけませんが、刀がずれないように止める工夫もされていた。ただ、新調した袴と肩衣。この肩衣だけが固く布団針も通らない、衣装部さんに言って芯になっている紙を減らしてもらわないいけない、もう一度人形拵えをやり直すことになると言う。傍らに置いてあった三つの首(かしら)について尋ねると、出番によって由良助の首も変えると言いながら由良助の表情を作ってくださった、九段目と十段目十一段目も当然衣装も拵えることになる。いよいよ初日を迎える。上方文化講座で「人形を持てば落ち着く」と話されていた。由良助の登場場面が楽しみである。 (取材・撮影N) |